2023年度SMSCA登山学校個人会員委員会「初級雪上登山講習会」

個人会員委員会では、年4回の講習会(机上・実技)を行い、個人会員並びに一般SMSCA会員の登山技術の向上・安全登山の啓蒙の「場」としております。
令和5年度最後となる「初級雪山登山講習会」を実施しました。
今回の講習会の趣旨にあります積雪期谷川岳登山に即した実践的な机上講習と、実技編ではマンツーマンレッスン!(少人数の参加者ゆえ)により、雪山の楽しさ、また厳しさを味わっていただけたのではと思います。
次の雪山登山のステップアップにつながっていただければと考えています。
個人会員委員会委員長 秋庭 栄

机上講習会
報告:岩武成秋(個人会員委員会委員)
 
【趣旨】  机上講習会で雪山登山の基礎的知識(雪山登山の道具や歩行技術の確認など)を身に着け、実技講習会では机上で学んだ基礎的知識の確認と実践を通じて谷川岳登頂(天神尾根往復)を安全快適に踏破する事。
【開催日時】令和6年3月6日(水)シ―ノ大宮 5階桜木公民館講座室2
   19時~20時45分
【参加状況】所属会員3名、講師1名、委員6名(秋庭、秋元、笠原、山口、岩武、鈴木(百))
【指導講師】瀬藤 武 氏:日本スポーツ協会公認指導員(SMSCA遭難対策委員長)
【机上講習内容】講師:瀬藤 武 氏
 ① 服装知識(ベースレイヤー、ミドルレイヤー、サーマルレイヤーの機能、選び方等)
 ② 装備や用具の知識と名称及び装着、事前準備と段取りについて
   ・靴(ブーツ)、アイゼン、ピッケル、ハーネス、ゲター、手袋、ストック等
 ③ 用具の使い方、注意点
 ④ 地形図によるルート確認
 ⑤ 実技講習の打合せ
★今回は資料提供はしないで対話方式による講座とした。

【まとめ】
 ○ 今回の参加者は所属会員のみの講習会となり、参加者も少なかったが、雪山登山の経験が少な
   い方の参加者となり、冬山の服装、装備や道具の使い方の基礎的知識の確認場となった。
 ○ 個人会員向け内容の見直しや個人会員からの意見・要望を吸い上げ、次に繋がる活動にする。

初級雪上登山 実技講習会
【開催日時】 令和6年3月17日(日)群馬県・谷川岳
タイム 9:03ロ-プウェイ山頂駅9:13 9:21天神平駅9:39 10:42熊穴沢の頭 11:02熊穴沢避難小屋11:26 11:56天狗の留まり場12:12 13:07肩の小屋 13:15谷川岳山頂(トマの耳)13:33肩の小屋13:43 14:06天狗の留まり場14:24 14:42熊穴沢避難小屋14:50 14:59熊穴沢の頭15:07  15:27天神平駅16:00 16:11土合口駅16:20 解散
【参加状況】所属会員3名,講師1名,委員(スタッフ)2名(山口、副講師:秋庭)
【指導講師】瀬藤 武 氏:日本スポーツ協会公認指導員(SMSCA遭難対策委員長)

“<参加所感文>
    報告 日本山岳会埼玉支部 高倉洋一
 当日はロープウェイ土合口駅に集合しましたが、すぐには出発せず、先ず瀬藤リーダーから自身が作成された1万分の1の地形図を参加者各人に渡して頂き、地図の見方や歩行ペースについて、また自分の手の親指の幅が約2㎝であれば地図上で約200mの距離が分かることなどを教えて頂きました。
 ロープウェイに乗り、天神平駅を出発してからも暫くアイゼンは履かずに雪の斜面を歩く難しさを体験しました。その後平らな場所でアイゼンを装着しましたが、秋庭サブ・リーダーは私のアイゼンの紐を触って、紐の締め方が緩いことを指摘してくださり、締め直ししました。10分ほど経って突然アイゼンが外れたため驚いてよく見ると、アイゼンに不具合があり(前側のビンディングの金具がアイゼン本体に不正常に食い込んでおり)、私は焦りましたが、瀬藤氏・秋庭氏・山口氏がピッケルをハンマー代わりに食い込んでいた金属棒を叩いて直して頂いて、以降はアイゼンも外れることなく、雪上を歩行することができました。
 山行途中も瀬藤氏・秋庭氏・山口氏から雪面の状況に応じて歩き方をアドバイス頂いたり、体に受ける風が今どれくらいの風速であるのか尋ねられたり、雪庇と尾根を指し示して注意頂いたりして、多くの学びがありました。
 当日はアイゼントラブルがあったり、私の登りのペースが遅かったにも拘わらず、適宜休息時間やウエアを脱ぎ着する時間を取って頂いたため、些か難儀していた私も楽しさを感じながらトマノ耳山頂を踏むことができました。
 私はまだ夏に谷川岳を登ったことがなく、当日は鉛色の空模様でしたが、雪の谷川岳に登ることができとても感激しました。下山後は、秋庭氏が参加者のアイゼンの余分な紐を焼いて切ることまでしてくださいました。
 この度の机上・実技講習会全般を通じて強く感じましたことは、昨年の雪山講習会(実技は赤城山山域)も同様、秋庭氏はじめベテランの皆さまのお人柄と思いますが、初心者に対し大変丁寧に指導してくださり、心より感謝しております。

最後に 暑くも寒くもない絶好の登山日和の中、参加者スタッフ全員が楽しめ谷川岳山頂往復が出来ました。危険地帯通過に用意したロ-プ、ハ-ネスも必要なく済みました。雪山初心者でも最低限の基礎知識・技術を身に着け経験者と同行すればトマの耳に立つ事が可能です。SMSCAで行っているこのような講習会を利用して、ぜひ活動のフィールドと登山のジャンルを広げていってください。